ファイナンスや株式移動などの規制のほかにも、証券取引所は合併などの見込みによって規制している場合があるので注意しなければなりません。
有価証券上場規程第205条第12号では、合併などを実施する見込みがあると申請が受理されないと規定されています。下記に示す1と2は、受理されない場合の具体的内容です。
または、新規上場申請日の直前事業年度の末日から2年以内に上記を行う予定のある場合(※4)で、これにより新規上場申請者が実質的な存続会社でなくなっている、あるいは証券取引所が存続会社でなくなると認めた場合。
ただし、有価証券上場規程施行規則第212条第11号で定めている合併が実態を持たない会社を存続会社とする合併だと認められる場合、また、会社分割が上場会社から事業を継承する人的分割(※5)だと認められる場合を除きます。
規制に該当しないとしても、重大な影響があると考えられる場合は、書類の提出などが求められます。
項目 | 条件・状況 | 提出書類 | 監査意見など |
---|---|---|---|
合併 | 最近1年間または上場申請日の属する事業年度の初日以後において合併を行っている場合(※1) | 合併当事会社に係る当該合併の直前の事業年度および連結皆生年度の財務諸表など | 金商法193条の2に準ずる監査 |
合併当事会社の事業の概況、事業の状況および設備の状況などを記載した「新規上場申請のための被合併会社等の概要書」 | ‐ | ||
子会社化 非子会社化 |
最近1年間または上場申請日の属する事業年度の初日以後において子会社化または非子会社化を行っている場合 | 当該子会社化に係る当該子会社化または非子会社化の直前の事業年度および連結会計年度の財務諸表など | 金商法193条の2に準ずる監査 |
子会社化または非子会社化に係る異動子会社の概況および理由などを記載した「新規上場申請のための異動子会社に関する概要書」 | ‐ | ||
会社分割 事業の譲受け 譲渡 |
最近1年間または上場申請日の属する事業年度の初日以後において会社の分割を行っている場合(※2) | 会社分割により承継される事業に係る財務系さんに関する書類(会社分割の直前年度に係るものに限る) | 一般に公正妥当と認められる監査の基準に準ずる監査 |
会社分割により承継される事業の概況および会社分割の理由などを記載した「新規上場申請のための会社分割概要書」 | ‐ | ||
最近1年間または上場申請日の属する事業年度の初日以後において事業の譲受けまたは譲渡を行っている場合(※3) | 譲受けまたは譲渡の対象となる部門に係る財務計算に関する書類(譲受けまたは譲渡を行った事業年度の直前事業年度に係るものに限る) | 一般に公正妥当と認められる監査の基準に準ずる監査 | |
譲受けまたは譲渡に係る事業の概況、譲受けまたは譲渡の理由および譲受けまたは譲渡の対価などを記載した「新規上場申請のための事業の譲受け(または譲渡)概要書」 | ‐ |
なお、以上のいずれの場合でも、東証が必要と認める場合には新規上場申請者との合併により解散した会社についても新規上場申請者とみなしてこれらの規定を適用します。
株式上場に際して、やるべき業務は多岐にわたります。
対応すべき事項は相当のボリュームになることも多く、解決までに時間を要する事が多くあります。
アガットコンサルティングが「株式上場準備」をお手伝いします。