資本政策とは
株式上場準備における資本政策とは、1. 資金調達 2. 株主利益の適正な実現 3. 株主構成の適正化 を図るための新株発行・株式移動等の計画をいい、中期経営計画と並行して立てていくことになります。
資本政策を行うに当たって
資本政策には、次のような方法を利用します。
株主構成是正 | 発行済株式数増加 | 発行済株式数減少 | 資金調達 |
インセンティブ プラン |
|
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株式移動 (売買・贈与) |
◯ | ||||
株主割当増資 | ◯ | ◯ | |||
新株予約権 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | |
新株予約権付社債 | ◯ | ◯ | ◯ | ||
第三者割当増資 | ◯ | ◯ | ◯ | ||
自己株の取得 | ◯ | ||||
株式分割 | ◯ | ||||
株式併合 | ◯ | ||||
上場時の公募・ 売出 |
◯ | ◯ | ◯ |
株式移動(売買、贈与)
株式が分散している場合に、経営者の持株比率を上げる手段として用いられます。また、経営者から子息へ事業承継対策を目的に移動することもあります。所得税は一律15%(別途住民税5%)で、贈与税の場合は超過累進税率であることなどに留意することが大切です。また、これらは株式上場準備の早い段階で行うほうが有利なケースが多いです。
株主割当増資
株主へ均等に株式を割り当てて、資金調達を目的とする増資です。
第三者割当増資などを行う前に、現在の持株数を増加させる目的においても行われます。
新株予約権または新株予約権付社債
- 新株予約権は取締役および使用人に対するインセンティブプランとして用いられます。
- 特定の株主の持株比率上昇および低下の回避が目的です。ただし、経営者などに多く割り当てる場合、相当額の払込金を要するため、目標とする持株比率をはっきりさせた上で発行すべきか否かを検討する必要があります。
- 資金調達の目的にも効果的です。
- 法人間の提携の媒介手法として使用可能です。
- 株式の譲渡制限がある場合には、株主総会の特別決議が必要となります(会社法238条2項、309条2項6号)。
第三者割当増資
第三者割当増資には、上場前の資金調達、金融機関および取引先を安定株主(※)とすることなどの目的があります。
- ※一般的には役員とその同族、取引先、従業員持株会が安定株主に該当します。また議決権の確保を図る目的から、67%または50%超が目安となっています。
- 株式の譲渡制限がある場合は、株主総会の特別決議が必要です(会社法199条2項、309条2項5号)。
- 株主総会の決議において募集事項の決定を取締役会へ委任することが可能です(会社法200条)。
- 新株の発行に替えて、自己株式を割り当てることが可能です(自己株式の処分)。
自己株式の取得
自己株式の取得は、上場前の株主構成、持株比率の是正に用いられます。自己株式の処分を上場時の売り出しで行う場合には、発行済株式数を増加させることなく資金の調達が可能です。
株式分割、併合
1株当たりの利益や株価の調整などを資本政策の修正に用いることができます。特に、利益計画で掲げていた業績が達成できなかった場合、上方修正の場合の株価調整に有効です。また、一単元あたりの株式数を100株、かつ1単元あたりの金額を50万円未満とすることが各証券取引所において求められているので、株式分割や併合などを用いる必要があります。
上場時の公募・売出し
公募・売出し株式数は、最低限証券取引所の規則を満たす株式数とします。
IPO支援情報
- 第3章『上場の概要』
- 第4章『JASDAQ上場について』
- 第5章『マザーズ上場について』
- 第6章『株式上場関係書類について』
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